ジオ福連携研究所
Institute for Geo-Welfare Collaborative Community Building

所長

設置期間

令和7年4月1日~令和10年3月31日

研究テーマ

豊かな自然、生物多様性のある里山づくりと地域に暮らす人びとの福祉を融合させ、自然の健康、地域の健康、人びとの健康の相乗効果で持続可能な地域運営のあり方を追究する

研究概要

<研究の目的>
東部サテライトは伊豆市に拠点をおき、人口減少・高齢化に伴う地域課題や伊豆半島の豊かな自然をテーマにこれまで様々な講座やイベント等を実施してきた。そのなかでも、ジオパークという切り口から生物多様性の保護、健全な里山づくりなどを通じた環境教育や防災教育は極めて重要なテーマとなっている。一方で、先述の通り高齢化や地域における人間関係の希薄化などが起因し、地域運営の持続性や安心できる居住環境の整備が困難になるという課題も抱えている。つまり、本来はそこに暮らす人々が様々な取り組みを通じて、地域コミュニティ運営を行い、豊かな里山を守り育てるという健全な循環が断ち切られようとしている。
このような課題にいち早く取組む事例として、伊豆市修善寺の半経寺(はんぎょうじ)山を拠点とする環境保全活動や環境教育を通じた里山の価値の創造と活用可能性の模索を実践している事業がある。修善寺というと、温泉観光地としてにぎわいのあるまちをイメージするが、実態は高齢化・人口減に伴い、共同浴場等の維持も困難になり住民の貴重な交流の場、つまり地域コミュニティの基盤としての機能も失われかねないという危機的状況に直面している。また、里山も利用頻度の減少により森林機能の低下、生物多様性の減少などの課題が見られている。これらの現状に対し、ビオトープの整備や里山環境改善講座、ヘルスツーリズム等の環境教育イベントを実施しており、ツアープログラムの開発にも取組んでいる。
本プロジェクト研究所の立ち上げにより、既存のネットワークや推進体制を活用しつつ、地域住民組織との協働を積み重ね、事業をさらに深化させていきたいと考える。具体的には、図1にあるように、「自然の健康」、「地域の健康」、「人の健康」の3つの健康を実現するために様々な取り組みを展開し、自然と共生する里山づくりとそこで人びとが豊かに生き続けられる環境作りを目指すことを目的とする。

図1:3つの健康

この事業を展開するにあたり、東部サテライトで展開している「伊豆未来デザインラボ」の活動に参加する企業や事業者もステークホルダーと位置づけ、それぞれの企業の得意とする技術や知識を持ち寄り、本活動に貢献することで、企業による地域貢献の一つのプラットフォームとしての機能を果たすことも目指していく。
また、静岡大学の学生や地元の高校生、中学生などが気軽に活動に参加できるような「場」としての機能を果たすことも期待される。
全体として、伊豆市をはじめとして、地域の地域づくり協議会、地域福祉委員会の組織とも情報共有しながら、幅広い業界(例:旅館組合等)の人たちとも連携を試みたいと考えている。