プラズマ医工学研究所
Institute for Plasma Biomedical Engineering

所長

清水 一男(静岡大学大学院/光医工学研究科/准教授)

設置期間

令和8年10月1日~令和11年9月30日

研究テーマ

プラズマ由来活性種による細胞・微生物・組織応答の可逆制御と医工学応用基盤の創出

研究概要

<研究の目的>
本プロジェクト研究所は、低温大気圧プラズマが液相および生体界面に生成する活性酸素・窒素種(RONS)を、細胞・組織機能を制御する医工学的入力として再定義し、プラズマ医療応用および生命応答制御の基盤技術を創出することを目的とする。
従来のプラズマ医療研究は、殺菌、がん細胞傷害、創傷治癒促進など、プラズマ照射の生物効果を個別に評価する研究が中心であった。一方で、医療応用へ進めるためには、プラズマ由来RONSがどの濃度、組成、時間条件で細胞に有益な可逆応答を誘導し、どこから不可逆損傷へ移行するのかを定量的に定義する必要がある。本研究所では、この課題を「プラズマ入力—RONS化学—細胞状態境界—医学的・生命科学的機能出力」という共通枠組みで捉え、プラズマ医工学の新しい研究基盤を構築する。
静岡大学側では、低温大気圧プラズマ源、PAM/PAS生成、RONS制御、光・電気・生体計測技術を担う。また、工学、理学、農学、教育学の生命科学系研究者が参画し、生体微粒子、発生・再生、植物・藻類応答、植物ストレス応答、種子発芽・生育制御などを対象として、低用量RONSによる細胞状態・分化・再生・増殖応答の評価を進める。これにより、プラズマ由来RONSによる生命応答制御の一般性を、動物細胞、微生物、植物・藻類、発生・再生モデルを横断して検証する。
浜松医科大学側では、腫瘍免疫、呼吸器腫瘍、DNA損傷応答、エピゲノム制御、DDS、光ナノセラノスティクス、マスイメージング、光医学トランスレーションを担う。さらに、徳島大学薬学系との連携により、DDS、核酸医薬、Nose-to-Brain送達などへの展開も進める。これにより、腫瘍免疫応答の可視化、DDS・薬物送達、神経・老化・生殖細胞機能、発生・再生応答、細胞状態境界、診断・治療技術への展開を進める。
本研究所では、清水研究室をPlasma/RONSコアラボとして位置づけ、プラズマデバイス、PAM/PAS調製、RONS入力条件、SOP整備、共同研究先への技術支援を担う。プラズマを専門としない生命科学・医学系研究者が参画しやすいよう、清水研究室がプラズマ入力を標準化し、各連携研究者がそれぞれの専門系において、生物学的・医学的評価指標を評価する体制を構築する。
本研究所は、静岡大学のプラズマ工学・医工学研究と、浜松医科大学の光医学・分子医学・腫瘍医学研究、さらに徳島大学薬学系のDDS研究を結節し、将来的な科研費、AMED、JST、企業共同研究、医療機器・DDS開発へ展開可能な学内外連携拠点となることを目指す。加えて、植物・藻類・種子応答を対象とした農学・環境バイオ応用にも展開し、低用量RONSによる生命応答制御を基盤とする新しいプラズマ医工学・バイオ応用分野の形成を目指す。